舘 星華
SEIKA TACHI
Japanese Visual Artist, Tokyo​​​​​​​
■Short Bio■
愛知県名古屋市生まれ。 
多摩美術大学で油画専攻を卒業後、幼児教室にて絵画・制作講師、資料デザイン・イラストの仕事を請け負いながら、展示活動をしている。 2013年より制作された漫画の1ページを抽象画にするComic Paintingシリーズをきっかけに手描きの擬音文字に着目し、一つ一つの仮名文字の形に焦点を当てた作品の制作を始める。2020年から2024年は主に幼児教室の講師経験からインスピレーションを受けたイラスト形式の作品を制作、鑑賞者や作品購入者の範囲を子どもにも広げる意図で展示活動だけでなくハンドメイドイベントにも出展。現在は、日本文化を作品に落とし込むことを模索しながら、仮名文字の制作に力を入れている。
■Education■
2017:
・BFA, Tama Art University, Oil painting
    (多摩美術大学 絵画(油画)学科 卒業)  
■SOLO/duo exhibition■
2024:
"CategorOUT" / Sunny Go! / Tokyo, Japan
    (『カテゴラウト』/ エナジーテラスSunnyGo!/麻布十番、東京)  
2019:
・"High Literal"/Hibi Cafe/Kobe, Japan
 (『ハイ・リテラル』/日々カフェ/ 神戸
2014:
"Zah" / Cherir Cabre / Tokyo, Japan
    (『ザッ』/Cherir Cabre/中目黒、東京)
■group exhibition■
2025:
・"Marginal Art Fair in Fukushima"/Futatsunuma General Park/Hirono, Japan
    (『余白のアートフェア 福島広野』/二ツ沼総合公園/広野、福島)
2024:
・"UNKNOWN ASIA"/Osaka Umeda Twin Towers South/Osaka, Japan
    (『UNKNOWN ASIA』/大阪梅田ツインタワーズ・サウス/梅田、大阪
    レビュワー賞「耳で聴く美術館賞」「原 康浩賞」受賞)
・"THE BLUE/Autumn Life"/Onden Gallery/Tokyo, Japan
    (『THE BLUE/オータムライフ』/隠田ギャラリー/表参道、東京)
・"Unknown, Intersection, and Me"/Design Festa Gallery/Tokyo
    (『未知・交錯・私』/デザインフェスタギャラリー/原宿、東京)
2021:
・"MEGURO NO SANMA"/rusu/Tokyo, Jpaan
(『MEGURO NO SANMA』/rusu/目黒、東京)
2020:
・"THE MOVIE for the cut and resistance to 'Can we educate art?'"/Genron Gallery/Tokyo, Japan
    (『美術は教育できるのか?に対する切り込みと抵抗 THE MOVIE』/ゲンロンギャラリー/五反田、東京)
2018:
・"Gajuku Exhibition"/Fuchu Art Museum Gallery/Fuchu, Japan
(『がじゅく展』/府中市美術館ギャラリー/府中、東京)
2015:
・"Yume Biennale"/Hachioji Yume Art Museum/Hachioji, Japan
    (『夢美エンナーレ』/八王子夢美術館/八王子、東京)
■Statement
舘星華は名古屋出身のアーティストであり、日本の文化や言語に深い興味を抱き、作品を通してそれらを表現している。彼女の創作において重要なのは、日本独自の「癖」を表現することであり、そこに個性や感情を持ち込むことはしない。彼女の作品の中心には、日本語というモチーフがあり、その独自性と曖昧さを追求している。
日本語は、舘の作品において特別な意味を持つ。彼女は、文字がその国の文化や性質を色濃く反映していると考えている。漢字は中国から伝わってきたものだが、ひらがなやカタカナなどの仮名文字は完全に日本独自のものだ。日本語を学ぶ際、誰もが一度はその読み分けや書き分けの難しさを経験する。理由は、仮名文字にはアルファベットのような明確な基準がなく、特にカタカナは見た目が単純で、文字同士が似ているものが多いからだ。たとえば、「ン」と「ソ」は厳密には払いの方向で見分けることができるが、わずかな線の傾きで違いが生じ、手書きの場合にはどちらの文字か判断できないこともある。舘は、この曖昧さが日本語の魅力であり、日本文化の一端を示していると感じている。
舘が日本の文字に着目するようになったきっかけは、子どもの頃から好きだった漫画にあった。特に10歳の頃に出会った少女漫画家・池山田剛の作品が、彼女に大きな影響を与えた。池山田の描くキャラクターや、恋愛ストーリーに組み込まれたアクションシーン、また独特なコマ割りや線の表現に衝撃を受けた舘は、彼女の作品を大学卒業まで欠かさず読んでいた。その後、舘は少年漫画も読んでみたが、なかなか読み進めることができなかった。その理由を考えるうちに、少年漫画と少女漫画の構造や違い、さらには擬音文字やコマ割りなど漫画の構造自体に強く興味を持つようになった。
多摩美術大学の油画専攻に進学した舘は、そこで漫画の1ページを抽象絵画として制作するという試みに挑戦した。漫画の構造を基に、キャラクターやセリフといった直接的な要素を排除し、コマ割りや効果線、スクリーントーン、擬音表現などの補助的な要素を残すことで、抽象的なイメージを作り出そうとした。この作品は教授陣の間で、普段は滅多に見られない議論を引き起こした。この経験は、舘にとって作品制作における新たな価値観を生む契機となった。マルセル・デュシャンに憧れていた舘にとって、賛否が巻き起こることは見たことのない新しいものを提示できた証だと感じたのだ。
そして舘は新たな方向を模索し始めた。注目したのは、漫画の擬音の中で最もよく見られる「促音『ッ』」であった。
促音は日本語の中でも独特で、日本文化の「間」や余白を象徴していると舘は考えている。この「ッ」という一瞬の無音を表す文字は、日本語だけが持つ言語の特徴であり、彼女にとって究極の日本人性を表現する要素だ。彼女は、浮世絵や屏風に見られる伝統的な余白の美学が日本語という言語の中にも反映されていると信じている。
そして、舘は李禹煥の巨大な絵画作品に出会い、彼女の「間」や余白への探求をさらに深め、促音「ッ」の表現模索にも大きな影響を与えた。彼の作品は、ほぼ余白で構成されながらもそこに圧倒的なパワーが宿っていたのである。しかし、促音を表現する作品は非常に難しく、最終的にこの「ッ」を作品として表現することを目指すも、現在は保留中である。
現在、舘は仮名文字の1つ1つの形に焦点を当て、サランラップやコンソメなどの既製品を支持体に使いながら、見慣れたものの中に潜む文字の曖昧さを探求する作品を制作している。これにより、文字に潜む、日常に溶け込んでいる文化性に新たな視点を与えることを試みている。

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